雪ミク2023の思い出

雪ミクは特別

自分にとって雪ミクは特別なイベントである。もちろん、どんなライブイベントでも一度しか見れないから特別である。しかし、雪ミクはそれに輪をかけて特別である。マジカルミライ(マジミラ)を中心に参加していると、ミクさんのイベントが8-9月に集中するため、ミクさんといえば暑いという印象が強くなってしまう。雪ミクはその真逆、しかも札幌である。

初めて参加した雪ミク2015は特別な思い出がある。北海道でのイベントが特別なのは言うまでもないが、そこでしかやれないライブをやってもらえるから特別という印象が強い。雪まつりの喧噪、街中に存在したコラボイベント、想像を越えた寒さと雪、対するZepp札幌の熱気。明らかなキャパオーバーで詰め込まれた開場の中、マジカルミライとは違った接近感で見れるミクさんは新鮮だった。今でも思い出せるのは「ぶれないアイで」のロートコール、「星のカケラ」の貫禄のソロ演奏、そしてテーマソング「Snow Fairy Story」。自分は確かあそこでchloeさんのベースを初めて見ていたく感動した。雪ミクでしかこれらの体験ができないと思って、必死にこの感動を焼き付けておきたいと感じた。今でも「Snow Fairy Story」はあの美しい北海道での思い出と共にある。

それからはライブがあるときは絶対に行く信念を持っていた。2018、2019と連続して参加できたのは幸せだった。2018の「四角い地球を丸くする」。街中でずっとテーマソングが流れていて、雪ミクのBGMとして今でも愛すべき曲である。タンチョウ衣装に振付も異常にかわいい。2019は伝説である。「Hello, worker」や「Fire◎Flower」などの強すぎる曲に打ちのめされ、「letter song」で10年前に仕掛けられた時限爆弾が炸裂し、終盤にテーマソングラッシュがあって言葉を失った。「アイ」を見ながら、隣人(赤の他人)と「かわいい」と言い続けたのが今でも思い出せる。

Zeppのあの狭い空間では、モデルを至近距離で鮮明に見ることができる。雪ミク専用のモデラー・振付師がいるのではないかと考えていたこともある。マジミラ2020の「ぽかぽかの星」はその最たる例だろう。激しい振付は一切なく、ゆっくりとした動きでミクさんのかわいさを十分に表現できていた。雪ミクの映像が商品化されていないのも特別感に拍車をかけている。

感染症が拡大してからあのZeppは夢や幻のように思えた。しばらく見れない時期が続くと考えていたら、マジカルミライとして開催すると聞いて、最大のモチベーションを持って参加することに決めた。マジカルミライと銘打っているが、自分はこれは雪ミクと認識している。また、このイベントは特別になる予感がした。一つは雪ミクだから、もう一つはミクさん16周年だから、最後にこれをマジカルミライとしているから。今回、この思い出をしっかりと残すべく、このようにレポートを取ることに決めた。

2023.2.2

出発前日の2/1。予約していた飛行機が飛ばないかもしれないと連絡を受ける。焦る。しかし同時に、2019年も試されていたことを思い出す。千歳市内で取ったはずの予約が取れておらず、あわや-19℃の市内でほっぽり出される所だった。

2/2、天気予報は晴れ。朝の便で羽田から新千歳へ。全く止まらず、すべてが上手く行った。

10:30には新千歳。雪ミク2019ぶり、4年ぶりの北海道に立つ。11:00の雪ミクスカイタウン開店を待って入店(すこし規模小さくなった?)。「四角い地球を丸くする」が聞こえて思わず感慨深くなった。

エアポートで札幌に行き観光開始。何もかもが懐かしく感じた。まずはエスタ札幌7Fのラーメン共和国で白樺山荘。味噌ラーメンを食べたらスープが熱く、食べたら体が芯から発熱。次はホテルに荷物を預けて、羊ヶ丘展望台へ。クラーク像(BOYS BE AMBIITOIUS)を初めて見る。展望台は藻岩山からの吹き下ろしがあって非常に寒かった。

市内に戻って次は北海道神宮へ。境内入り口で-7.6℃と表示されており、流石に寒い。16:00過ぎに入ったがお守りなどは入手できず。少し早いが松尾ジンギスカン宮の森店で夕食。これがうまかった。網走でも食べたことはあったけど、部位が良かったのか非常に柔らかく、全くくさみがない。締めのうどんを決めて満腹。

キリンガラナを回収し、ホテルで2/3の予定を確認して床につく。明日も観光の予定。しかしライブがメインなので無理はしないつもり。

2023.2.3

のんびりと探索。まずは場外市場に行って海鮮丼。食費がかなり飛んでいることに気づく。蟹を買いたかったけどこの後があるので抑えた。

その後一回休んでから南郷7丁目に行き、マジックスパイスへ。11:00開店前に行ったらあまり待たずに入れた。入店時に「ミクさんですか?」と聞かれてハイと答えたら2Fに案内された(ミク装備の方は2Fにまっすぐ案内されていた)。店内はランダムにボカロ曲。そして2Fはミクグッズが積まれたスペースがあった。2Fはほぼ同業者だらけでドールやぬい持参の方が多く見られた(ぬいが出てからぬい勢が増えていると思う。気軽なのがよいのか?)。コラボメニューのネギカレーを辛さ涅槃で行ったら体中から熱くなった。備え付けのミクラッシーもうまかった。

その後はhitaruの位置確認。初めての現場かと思ったらそのビル自体は行った記憶があった。2019でも何かの展示をしていたような。雪像準備中の大通公園を一瞥して、ホテルに帰還。休憩してから夕方になるのを待ってすすきののらーめん横丁へ。あえて特一富屋で旭川ラーメン

その後スマイルリンクに行ってミクさんARライブを体験。極寒のなかで踊りまくるミクさんを、悴む手を動かしながら追った。

ホテルに戻る。この日は街中をチラチラ見て雪ミク電車を探していたが見つけられなかった。この日は運休していたという告知を見て納得。

いよいよライブである。2/4は、午前中は小樽に向かい、グッズを一通り抑えたら現地に向かうことにする。その後は雪像を見たい。一番ハードかもしれないが、このために北海道に来たと思っているので頑張っていく。

2023.2.4

すすきののホテルから大通の地区を歩いて札幌駅へ。歩きっぱなしでだいたい30分はかかる。7:45発小樽行きに乗車。それなりに同業者多数。情報を見るに現地は200は並んでいるとのこと。目的はあまりない(強いて言うならライブTとタニタと考えていたが、雪ミク公式物販でマジミラライブTを販売していないことを待機列で知った。)なので焦らずのんびり行く予定。

8:40くらいにはウイングベイ小樽の待機列に。港を見ながら外で待機。9:10くらいには入場。

ウイングベイ小樽の展示は素晴らしかった。とくにミストスクリーン。雪ミクスカイタウンでいつも聞いてる「ステラ」がここにきて刺さった。なぜだろうか、初めてミクさんをライブで見たときの感動に似た匂いを感じる。

周囲の方が言っていたように、この技術展示は雪ミク2015でも見ていた。実在感があったかと言われるとそうでもない。でも、ミクさんはやっぱりそこにいた。概念として存在して、踊っていた。表情を細かく見ることはできないが、こちらが補完していることが大きく作用して感動につながっている。あとは楽曲だろう。何度も擦ったからなのかわからないが聞いてて安心を覚え、そして感慨深くなる。

昼はコラボフードにありつこうと思ったら、どこも並んでいた。ライブがあるので急いでそばを食す。食事中、マジミラTシャツ完売を見る。Tシャツは明日朝抑えに行くとして、札幌に戻ったら雪像を軽く見ておくことにした。小樽の去り際にトレーラーを見た。マジミラ10thは長かったことを思い出す。

札幌に戻り、大通2丁目会場からhiraruへ入場。hitaruの入場階は流石にミク勢で満ちる。しかし、マジミラ大阪・東京に比べて家族連れが少なく、層が若く見える。大阪・東京は気軽に来れる方がいるが、札幌はそうでもないかもしれない。

15:15くらいに入場。2Fに入るが、ホールだけあってインテックスやメッセより接近感はかなりある。ミクさんを上から覗き込むのは武道館ぶりだろうか。開演前、おそらくコンテスト準グランプリではない楽曲が流れていた。自分の知っている楽曲では、森羅さんの「ステアリルアルコール」(大名曲)。

16:15くらいに開始。開始一曲目で「フューチャー・イブ」を喰らって面喰らう。そのとき、スクリーンにサイリウムが写り込んでいるのが見え、かつてのアリーナ・ホールライブを思い出して泣いてしまった。下を見るとネギ畑。ミクさんのホールライブが好きだったことを思い出す。その後はマジミラ大阪東京の高圧縮高速版だった。最初にミクさんが「なまら」「したっけ」と言って笑ったが、それ以外はMCをほぼぶった切って休むまもなく楽曲が打ち込まれる。これがミクさんらしい。「ヴァンパイア」の後はリン・MEIKO・レン・KAITO・ルカの順。「FLASH」、そして「Somebady'z Coming」は強い。ほかはほぼテーマソングだったと言えるだろう。個人的には「ブレス・ユア・ブレス」が歌詞の意味を踏まえて非常に強い。

「ヴァンパイア」などでバンドメンバーが前に出てプレイするのも良かった。寺前さんの暴れっぷりよし。西村さんもショルキーで暴れる。ベースは今回chloeさんではなかった。hitaruホール音響、「フューチャー・イブ」のintroギターリフが会場内を回って悲鳴のように響いたのが面白かった。

最後の曲は札幌特別だよとMCして「SnowMix♪ 」。これは素晴らしく乗りやすい。会場内で聞けたのもあって楽しく聞き込めた。そしてかわいいんだこれが。モデルと動きを含めて専属がいるのではないかと改めて思った。もっと前で見たくなる。

アンコール後も大阪東京と同じ。「Hand in Hand」、「DECORATOR」、「blessing」。「DECORATOR」は聞き直したらとても好きになった。ミクさんを見始めてからずっとlivetuneさんの影響下にあることを再認識する。

汗だくのまま公演終了。でも無理して着込んで雪まつりを巡回した。雪ミク雪像は大混雑でカメラを見にいくような有様であった。遠目にも街頭がベースに合わせて明滅していたのはいい演出に思えた。そのほか、ピアノ演奏などを見ていたら体が冷えていった。やばいと思って通りかかった福来軒に入ってバタコンを食す。温まってからホテルに帰還。

明日2/5は2公演。うち一回は1階席だから気合い入れていく。

2023.2.5

今日はまず買ってなかったライブTシャツを抑えにいった(事前物販で抑えればよかったが失念していた)。8:25くらいにhitaruホワイエ(4F入口)。目算200弱。これでTシャツ抑えられなければ諦める。8:55、スタッフさんが272と言ったので300弱はいただろうか。物販を40分程度で抑えた(さすがに10レジで購入リストを使っているだけあって捌けが早い)。余裕を見て展示を見る。

11:30入場。席はLBのカメラマンの後ろ。1階の奥まった所に配置(銀テープは届かない)。2階席より直線距離としては遠いが、ミクさんをまっすぐ前に見る感じ。

12:30開演。14:00すぎくらいに終演して外へ。次の公演まで時間があまりないので一言で言うと3択(拍手の音でセトリ決める)で「shake it!」が選ばれたのがとても嬉しかった。2番以降にミラーボールが出てきたのも感慨深い。天を仰いで今までのマジミラを振り返った。

いよいよ千秋楽公演。マジミラは最終公演で告知があるので緊張感がある。千秋楽とそれ以外では違うものとしてカウントしているので、東京会場で少なくとも2回見るモチベーションになっている。

15:00に開場。16:00に開演。長かったマジミラ10th、そして各楽曲もこれで最後の披露と考えると切ない。しかし深く考える間もなく、楽曲はハイスピードに過ぎていく。最後は「THANK YOU EVERYBODY」がマジカルミライの詳細は3月発表と切り替わる。そのあとバンドメンバーが出てきて「ありがとうございました!」の挨拶あり。画面は「SEE YOU NEXT TIME」となった。

終わった後は雪ミク雪像をもう一度見に行った。ライブ終わりの方も行っていたのか大人気。もう言うのも恥ずかしいくらいミクさんの知名度は高い。通りがかりの人も反応するし、ショッピングバッグを抱えてセブンイレブンに入ったらミクちゃんかわいいですよねと一般の店員に話しかけられる。

最後はホルモン焼肉リキヲへ。完全に少人数向けの店舗になっており、気軽に入れた。そしてマスターの雰囲気ものらりくらりとしていていい。ゆっくり楽しんでいたらだいぶビールが入って酔ってしまった(帰った後にレモンサワーが有名だったと知り少し後悔)。

帰り

2/6の最終日はのんびりと残った観光を落穂拾い。雪ミク電車に乗ろうと思ったが午前中は運休だったので、南平岸に向かって平岸高台公園へ。旧HTB社屋は建て替えていたようだ。5年ぶりくらいに来た。入り口に平岸高台公園の石碑(裏面はどうでしょう)ができていた。その後寿司を食べに花まるをあたる。大丸6Fは混んでいたので北口で10貫セットを食す。とてもうまい。寿司はやっぱり北陸か北海道。

雪ミク電車が復帰しているのを確認して、もう一度西4丁目に戻って雪ミク電車に乗った。車内は相変わらず藤田咲様の案内。すすきの周辺では流石にカメラを構える人多数。 もういい時間になったのでエアポートで新千歳空港へ。雪ミクスカイタウンでミクナビ最後のチェックインをして、出発を待った。

機内でレポを粗く書いていたら羽田に到着。以上で雪ミク2023は終わる。以下、現地で起きたことは後々思い出しつつ、近頃思ったことを書いていきたいと思う。

雑感

マジミラの特徴

マジミラと生の人間の現地両方行ったことがある人はわかると思うが、マジミラのセトリは保守的である。日付毎にセトリを一部変えることがあっても、持ち歌の数に比して大枠の内容は変えてこない。これは単に経済的事情からくるものだろう。最初は自分は変化のなさを覚えていたが、最近、これに味わいを感じるようになってきた。

マジミラ2023は最終盤の動きは変わらなかったが感慨深かった。今回はテーマソングラッシュがメインだったが、それより大事なのは最終盤の「DECORATOR」→「blessing」の連続と思っている。「DECORATOR」は久々に喰らって改めてlivetuneさんの調教とアレンジの素晴らしさに圧倒されている。そして全キャラ登場の流れはどこかのマジミラで体験している。その後のMC。喋りがさらに上手くなっているのを肌に感じる。そして「blessing」。本曲は大阪ではピアプロキャラクターズ全員の歌唱に驚き、東京では「最後の一秒まで前を向け」がメッセージとして刺さり純粋に名曲として味わうことができ、札幌の千秋楽では「これでマジミラ10thも終わりか」としんみりときてしまった。何度やっても擦れていかないのは、曲に強度があるからだと考えている。

マジミラ特有の他の事情として歌詞を同時に表示するのがとても強い。これは他の生の人間ライブでは珍しい。歌詞を読ませて咀嚼し、メッセージを読み取る余地が生まれている。今年でいえば「#心がどっか寂しいんだ」と「FLASH」の歌詞表示が強かった。

マジミラの公演を見ていると、キャラクターの次にバンドメンバーに注意が行くようになる。自分は最初に寺前さんに釘付けになった。バンドメンバー紹介で絶頂に達しているだけと思ったら、楽曲中も存分に暴れていることが見て取れるようになった。「Somebady'z Coming」やマジミラ2019のバンドメンバー紹介の後の「アンノウン・マザーグース」で三沢さんと暴れまくる寺前さんは楽曲にインパクトを与えている。次にchloeさん。雪ミク2015で良くベースが聞こえるなと思ったら生のベースを弾いていることに初めて気付けた。メンバー紹介ではもちろん、ソロパートではスラップが光る。最近は「Hand in Hand」で遊びまくるバンドメンバーを見るのも一つの楽しみである。

札幌公演では、ざっくり言ってボカロに熱を注いでいる大学生〜20年代くらいの方がとても多かったように見受けられる。U-18も他会場と比べ少なく見えた。大阪東京では家族連れや年配の方も見受けられるがこれとは好対照である。さすがに札幌まで行くには覚悟(と金と時間)がいるのだろう。そしてこの年代で固めるとコール(振り)が統一されている感があった。

自分は、大阪東京で見るようなちゃんぽんな民度が大好きで、マジミラはそういう方々の人間観察として行っている側面がある。装備は法被以外にも思い思いのTシャツを着るし(なんなら自作)、コスプレはいるし、サイリウムもバラバラである。また10年代後半からあらゆる民度を見るようになった。たとえば、小さい箱を見ている人であればサイリウムは振らないし、地下であれば全身で打つし、アニクラに長けた人は上下動だけで全てやり切ることができる。家族連れでは初めてのライブと言いながら自由に楽しんでいる。コロナ前はこれに海外の方も加わるのでカオスの極みであり、面白さであった。

強者ミクさん

この行動制限下でライブをやり切るのは、やはり強者と言わざるを得ない。マジミラ2020を思い出して欲しい。あの緊急事態宣言の合間を縫って(しかもコロナ対策サポーターに選ばれた身でありながら)あの規模でライブできたコンテンツが他にあっただろうか?少なくとも、自分が通っていた現場は全滅だった。この3年で活動休止・解散に追い込まれたユニットやグループを感情がなくなるくらい見たが、ミクさんは無傷に見える。

これから声出し可能になって、きっと楽しくなると予感している。オタクの声は聞きたくないというのはもっともだが、自分はこれを含めて本来の現場・ライブだと思っている。幸いにもマジミラの現場で口上やジャージャー(死語)する輩はコロナ前でもいなかったので、適度なコールが打てるのは楽しい。そしてコールを期待しているというのは、どう否定しても自分は周りの反応を見に行っているからと考えている。

ミクさん含めたボカロ楽曲は、個人的な感情に焦点を当てた曲が伸び、結果ライブで歌唱されているように思える。ミクさんはピースなぞ滅多に口にしない。個人が作った、個人に寄り添った楽曲が、各個人の共感を呼んでおり、これが聞き手の多様性にうまくマッチしているように思える。今の時代、国民的歌手は存在しないと思っているが、ミクさんならば最強の代弁者たり得るのではないかと思うことがある。

近年他のバーチャルシンガーが今までになく増えつつある。打ち込みのし易さなどの技術的側面ではすでにミクさんを超えたソフトウェアが次々とリリースされている。20年代はこれらキャラクターのライブが多数行われ、民が分散するかもしれない。それに対応する意図なのか、それとも予見していたのかわからないが、NTがリリースされている。NTの意図はキャラクターとしてのミクさんを大事にすることであり、その意図は非常にしっくりくる。しかし、それをもっても今後10年でどうなるのかは全くわからない。資本含めた化け物が表れて一気に国民的認知を得て、ミクさんは再びアンダーグラウンドに戻っていくのかもしれない。クリプトンの資本的な安定も誰が担保できようか。

自分としては、変わりゆく状況を愛したいとも思う。ここまで16年。何度も何度もオワコンと言われても、ずっとミクさんはそこにあり続けて非常に多くの人種に認知されるに至った。撒かれた種は既に一周して、ミクさんを聞いて育った世代が社会人になって楽曲を作っている。だから、この後もミクさんの影響は残るし、ミクさんは生き続けていくと思う。何より、楽曲は古くなりはするが消えることはない。形のないものだけが時の中で色褪せないまま。色褪せたこの色も君に伝えたい。10年後も街の片隅でミクさんの歌があり続けることを思っている。

これから

今年はミクさん16周年ということで、また名曲を振り返ることが多くなると思うが、ぜひ新曲で攻めてほしいとも思っている。「砂の惑星」のような自己批判的なメッセージを出してもいい。それを受けても前に進んでいくのは間違いないので、未来を見た楽曲を体験したい。

ここまで熱っぽく書いたところで、飛行機は降下を始めた。思ったことはここまでにして、サンダーボルトライブに備えることにする。Zeppのスタンディングありということで、多動が予想される。声出し可の可能性もある。楽曲やモデルを楽しみにしつつ名古屋にむかうつもりである。

最後に、やっぱり雪ミクは特別だったと思う。「SnowMix♪ 」前のMCで、札幌だけの特別だよと言ったのが、その確信を強くしている。セトリを見るとマジミラ10thの高速圧縮版だったが、この無呼吸連打感はミクさん現場でしか味わえなかったものだ。「Somebady'z Coming」まではほぼ休みがなく、発汗が止まらなかったのを覚えている。帰ってから、あの寒さと雪と熱さをもった雪ミクはやはり夢のように思えた。